第44巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 総説 ─
重粒子線による肺癌治療―炭素線による1回照射法の確立へ―
宮本 忠昭11放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院
1994年11月より重粒子線がん治療装置(HIMAC)を用いて肺癌に対して炭素線による臨床試験を開始してから10年が経過した.最近,臨床病期I期非小細胞癌に対する局所制御率は95%以上,粗生存率(5年)50~60%以上,原病生存率は70~80%になり,外科的治療と同等の成績に達した.この10年の研究を通して照射期間と回数は18回/6週間から9回/3週間へ,さらに4回/1週間へと順次短縮し減数した.そして2003年4月からついに1回照射となった.すでに1回照射により46名が治療され,患者の心身への負担は著しく軽減されている.当治療法は,炭素線によるradiosurgeryである.しかも1回照射法は,副作用が少なく優れたQOLを有する治療手段として新しい肺癌の治療法となるであろう.
索引用語:重イオン線, 炭素線, I期肺癌, 1回照射, Radiosurgery
受付日:2004年9月27日
受理日:2004年10月1日
肺癌 44 (7):741─751,2004