第44巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
肺癌手術における気管支断端陽性例の癌遺残形態からの検討
小舘 満太郎1, 大崎 敏弘1, 安田 学1, 菅谷 将一1, 竹之山 光広1, 花桐 武志1, 杉尾 賢二1, 安元 公正11産業医科大学第2外科
目的.気管支断端陽性肺癌切除例を対象に癌の遺残部位,組織学的遺残形態について検討する.方法.原発性肺癌切除776例中,術後の組織学的検索にて気管支断端陽性であった20例(2.6%)を対象として,癌遺残形態から検討を加え,予後との関係,術後放射線治療の意義につき考察した.結果.癌の遺残部位が気管支断端陽性のみであったのは13例で,他の7例は複数の部位(他の切除断端癌遺残5例,転移リンパ節癌遺残2例)で癌の遺残を認めた.組織学的壁深達度は,上皮層まで2例,壁内6例,壁外12例であった.脈管侵襲は10例にみられた.気管支断端陽性のみであった症例は,他の部位に癌の遺残を認めた症例に比較して有意に予後良好であった.また,脈管侵襲陽性の10例はすべてリンパ節転移陽性で,8例が遠隔転移をきたし全例が死亡した.6年以上の長期生存中の2例は,1)気管支断端陽性のみの扁平上皮癌例,2)深達度が上皮内および壁内にとどまっており,3)脈管侵襲がなく,4)術後放射線照射を行った症例であった.結論.気管支断端陽性例のうち,深達度が壁内に限局し,脈管侵襲がない扁平上皮癌であれば,術後放射線治療により長期生存が得られる可能性がある.
索引用語:肺癌, 癌遺残, 気管支断端, 非完全切除
受付日:2004年7月20日
受理日:2004年10月14日
肺癌 44 (7):759─762,2004