第44巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
急性腹症にて発症した肺癌小腸転移の3例
坂口 幸治1, 堀尾 裕俊1, 桑原 克之11都立駒込病院呼吸器外科
背景.肺癌小腸転移は比較的稀な転移で手術症例は少ない.我々は急性腹症にて発症した肺癌小腸転移手術例3例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例.症例1:64歳男性.右肺癌にて上葉管状切除と縦隔リンパ節郭清術を施行,病理診断は大細胞癌であった.術後約2ヶ月で腸閉塞のため小腸部分切除術を施行した.原因は大細胞癌小腸転移であった.症例2:54歳男性.左肺癌右扁桃腺転移と診断され,化学療法と放射線療法施行した.治療経過中に小腸出血をきたし,小腸部分切除術を行った.原因は肺大細胞癌小腸転移であった.症例3:71歳男性.肺癌精査中に腸閉塞を診断され,小腸部分切除を施行した.原因は肺未分化癌小腸転移であった.結論.肺癌小腸転移は予後不良であるが稀であるため,小腸転移が疑われても癒着性疾患等が否定されない限り,進行肺癌患者の急性腹症でも開腹手術を必要とする場合がある.手術適応の判断にヘリカルCTが有用である.
索引用語:肺癌小腸転移, 大細胞癌, 腸閉塞, 急性腹症, ヘリカルCT
受付日:2004年5月17日
受理日:2004年10月19日
肺癌 44 (7):791─794,2004