タイトル
第44巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

脳転移を来したWHO新分類でType AB胸腺腫の1例

関 みな子1, 神 靖人2, 杜 うぇん林3
1平塚市民病院外科, 2平塚共済病院呼吸器科, 3慶應義塾大学医学部病理学教室

背景.1999年World Health Organization(WHO)により胸腺腫の新分類が提唱された.このなかでtype AおよびABとされるものは予後が良好で,従来胸腺腫の進行度分類に用いられてきた正岡分類では殆どの症例がII期までに相当する.また,正岡IVb期のものでも胸腔外への転移はまれである.今回,WHO新分類でtype ABと考えられた脳転移を伴う胸腺腫の1症例を経験した.症例.71歳,男性.胸部単純写真で偶然発見された前縦隔腫瘍を9年にわたり放置していた.後に左片麻痺によって発見された脳腫瘍を切除され,胸腺腫の転移巣と診断された.この時点で前縦隔腫瘍は増大し,両側肺にも多数の転移巣を伴っていた.原発巣の切除により,前縦隔腫瘍は正岡IVb期に相当するWHO新分類でtype ABの胸腺腫と診断された.結論.本症例は長期間にわたり原発巣を放置していたことにより,遠隔転移を生じたtype ABの胸腺腫の極めてまれな1例であると考えられた.
索引用語:胸腺腫, WHO新分類type AB, 正岡IVb期, 脳転移

受付日:2004年8月3日
受理日:2004年10月19日

肺癌 44 (7):795─799,2004

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