タイトル
第45巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

巨大ブラ切除にて偶然発見された微小肺腺癌及び異型腺腫様過形成(AAH)の1例

北原 美由紀1, 小川 功1, 淀縄 聡1, 藤原 明1
1茨城西南医療センター病院外科

背景.従来より気腫性肺嚢胞症は肺癌発生のrisk factorであるとされている.今回我々は巨大ブラ切除にて偶然発見された微小肺腺癌及びAAHの1例を経験したので報告する.症例.32歳男性.職場の健診で両肺巨大嚢胞を指摘され当院受診するも無症状であることから経過観察となった.3年後に呼吸器症状が出現し,X線上右肺嚢胞が増大し気胸発症の恐れがあるため手術施行した.5つのブラを切除したがその1つのブラの内面に大きさ1.0×1.0 mm,1.5×3.0 mmの2つの結節を認め,病理学的には乳頭状に増殖する微小腺癌組織であった.また同じ切除肺実質内に5.0×3.0 mm大の腫瘍があり,病理学的にはatypical adenomatous hyperplasia(AAH)と診断した.追加切除はせず,現在経過観察中である.結論.肺嚢胞を有する患者は肺癌の高危険群であることを認識し定期的に経過観察を行うことが重要である.またブラ切除術にて偶然発見される肺癌があることを念頭に置き,術後病理組織学的検討を慎重に行う必要がある.
索引用語:気腫性肺嚢胞, 肺腺癌, ブラ切除術

受付日:2004年6月30日
受理日:2004年11月16日

肺癌 45 (1):19─23,2005

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