タイトル
第45巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

大動脈合併切除を行った原発性肺癌5症例の検討

江夏 総太郎1, 白石 武史1, 岩崎 昭憲1, 蒔本 好史1, 前川 信一1, 三好 立1, 平塚 昌文1, 山本 聡1, 川原 克信2, 白日 高歩1
1福岡大学医学部第2外科教室, 2大分大学第2外科教室

目的.大動脈合併切除を施行した原発性肺癌症例を検討する.方法・対象.当施設で大動脈合併切除を施行した原発性肺癌5症例を対象とした.大動脈合併切除の必要性は術前診断にCT・MRIを用い,術中所見にて最終的な判断を行った.臨床・病理病期は肺癌取扱い規約に準じた.結果.全例が男性の喫煙者.平均年齢は57歳.術式は左肺全摘術が4例,左肺上葉切除術1例.合併切除部位は大動脈外膜1例(再建なし),大動脈弓部1例(パッチ補填),下行大動脈3例(人工血管置換術)であった.術後合併症は2例(肺炎,不整脈)に認めたが,手術関連死は認めなかった.組織型は扁平上皮癌2例,腺癌1例,大細胞癌1例,小細胞癌1例であった.病理病期pT3N0M0(IIB)2例,pT3N2M0(IIIA)1例,pT4N0M0(IIIB)が2例であった.病理学的に大動脈壁への浸潤を2例に認めた.大動脈浸潤2症例の予後はそれぞれ3年2ヶ月,7年2ヶ月無再発生存中である.結語.原発性肺癌の大動脈浸潤を術前に診断することは困難であった.腫瘍の浸潤が大動脈壁に留まりリンパ節その他への浸潤転移がない症例において良好な切除成績を期待できる可能性が示唆された.
索引用語:原発性肺癌, 大動脈浸潤, 拡大手術, 予後因子

受付日:2004年8月9日
受理日:2005年1月11日

肺癌 45 (2):111─114,2005

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