タイトル
第45巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺原発印環細胞癌の1手術例

神谷 健太郎1, 3, 伊藤 秀幸1, 奥脇 英人1, 3, 森田 敬知1, 藤井 丈士2
国立国際医療センター 1呼吸器外科, 2臨床検査部, 3現 山梨大学第二外科

背景.印環細胞癌(signet-ring cell carcinoma:SRCC)は胃に多く発生し,肺原発のものは稀である.今回我々は肺原発の印環細胞癌症例を経験したので報告する.症例.28歳,女性.喀血のため前医に緊急入院し,当院転院となった.胸部CTで右下葉に60×35 mmの内部不均一な腫瘤影とそれに連続した肺門,縦隔リンパ節腫大を認めた.右中下葉切除及び縦隔リンパ節郭清術を施行した.肉眼的には,右下葉に57×50×37 mmの白色充実性腫瘍を認めた.病理組織学的には,微細顆粒状~泡沫状の豊かな細胞質(PAS,alcian blue陽性)を有する印環細胞が肺胞腔を充満するように増殖していた.印環細胞は腫瘍の約95%以上を占めていた.免疫組織学的には,thyroid transcription factor-1(TTF1)弱陽性,cytokeratin-7(CK7)陽性,cytokeratin-20(CK20)陰性であった.以上より,肺原発の印環細胞癌と診断した.病期はpT2N2M0,stage IIIAであった.結論.印環細胞癌は稀ではあるが肺原発の可能性も考慮する必要があり,また印環細胞成分が予後因子の1つとなる可能性が考えられた.
索引用語:印環細胞癌(signet-ring cell carcinoma:SRCC), 原発性肺癌, Thyroid transcription factor-1(TTF1), Cytokeratin-7(CK7)

受付日:2004年7月6日
受理日:2005年1月6日

肺癌 45 (2):123─126,2005

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