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第45巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第20回肺癌集検セミナー ─

各種がん検診から学ぶ精度管理―肺癌

中山 富雄1, 楠 洋子1, 鈴木 隆一郎1
1大阪府立成人病センター調査部疫学課

我が国の市町村で行われている肺癌検診は,年間700万人以上が受診しているが,肺癌発見数は3600人弱(発見率51/10万人)で,受診者の増加に伴っていない.都道府県別にみると発見率は最大111.5,最小18.5でその差は最大6.2倍とバラツキは大きかった.市町村別に見ると,精検受診率や精検完了率が30%を下回る市町村も認められ,受診者数5000人以上の市町村の6.3%で過去2年間肺癌は1例も発見されていなかった.肺癌検診は外的精度管理の枠組みがないまま,急速に普及していった.市町村事業と位置づけられてからは,実施数や費用のみが問題とされており,精度については検討されておらず,受診者にも精度に関する情報は提供されていない.今後は対象者や精度管理指標の基準値を盛り込んだ運用指針の見直しと,第3者機関による検診成績の情報公開が必要である.
索引用語:精度管理, 肺癌, 検診

肺癌 45 (2):183─187,2005

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