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第45巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第20回肺癌集検セミナー ─

慢性閉塞性肺疾患・禁煙

佐藤 功1
1香川大学医学部放射線科

目的.肺癌検診を中心としたCTから肺気腫の発症頻度を検討した.対象と方法.対象は2731例で,男性1890例,女性841例の21~91歳である.肺気腫はCT上の低吸収域で診断し,呼吸機能検査は参考にしていない.男性では喫煙者が過去喫煙者を含めて1592例,非喫煙者が298例であり,一方女性では喫煙者が過去喫煙者を含めて114例,非喫煙者が727例であった.CT所見は正常と,肺気腫を軽度のgrade 1から重症のgrade 4にまで分類した.CTは1 cm厚の連続画像で,高分解能CTは使用していない.結果.男性において肺気腫は喫煙者1592例中827例(51.9%),非喫煙者298例中6例に認められた.女性では喫煙者114例中27例(23.7%),非喫煙者727例中10例(1.4%)に認められた.男性喫煙者での肺気腫の重症度別では,grade 1が383例,grade 2が206例,grade 3が154例,grade 4が84例であった.一方女性喫煙者での重症度別ではgrade 1が17例,grade 2が6例,grade 3が4例でありgrade 4はなかった.また男性喫煙者の年齢別の肺気腫の発症頻度は30歳未満で27例中8例(29.6%),30歳代90例中33例(36.7%),40歳代294例中138例(46.9%),50歳代507例中241例(47.5%),60歳代406例中231例(56.9%),70歳代以上268例中176例(65.7%)であった.考察.肺気腫は30歳以下の若年者から認められる.肺気腫は非喫煙者でも発症するが,喫煙と密接に関連し年余にわたる喫煙の積み重ねで進行する.肺気腫は平均では男性喫煙者の半数以上に認められる.
索引用語:肺気腫, CT検診, 喫煙, COPD

肺癌 45 (2):189─193,2005

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