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第45巻第3号目次 Japanese/English

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─ 第19回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

肺がんの新しい治療法としての胸腔鏡下肺葉切除・リンパ節郭清

加勢田 靜1
1国立病院機構神奈川病院

目的.肺がんの新しい治療法としての胸腔鏡下肺葉切除・リンパ節郭清の成績を検討した.対象と方法.1992年9月から2004年8月までに378例の胸腔鏡下肺葉切除を行った.うち,肺がんは324例であり,重篤な合併症のない臨床病期I期肺がん247例で開胸術と同等のリンパ節郭清を行った.成績.切除したリンパ節は5~73(平均25)個であった.組織学的検索の結果,N0が159例(64.4%),N1が32例(13.0%),N2が56例(22.6%)であり,最終的な術後病期はI期が152例であった.I期152例のうち,5例はがん死したが,ほかは1~130カ月再発の兆候なく生存中である.I期非小細胞がんの5年生存率は94.4%,10年生存率87.9%であり,以前に開胸術を行った症例の予後(78.5%,65.0%)に比べ明らかに良好であった(p=0.0013).術前後の呼吸機能検査の成績は,肺活量,1秒量ともに胸腔鏡手術の方が開胸術に比べ低下が軽微であり,術後3年までのフォローアップの結果,胸腔鏡手術群では肺活量は術前値を1とした時に0.92まで,1秒量は0.88まで回復した.結語.胸腔鏡下肺葉切除・リンパ節郭清はI期肺がんの標準術式の1つとして考えられる.
索引用語:胸腔鏡, 肺がん, 肺葉切除, リンパ節郭清, VATS

肺癌 45 (3):255─260,2005

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