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第45巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第19回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

ミニ開胸(VATS)による区域切除

岡田 守人1
1兵庫県立成人病センター呼吸器外科

原発性肺癌に対する手術において重要なことは,癌根治と低侵襲のバランスである.前者は大前提であるが,後者はquality of life向上を目指したもので肺実質のlesser resectionとminimally invasive approachに分けられる.非小細胞肺癌に対する標準的外科治療は肺葉切除と肺門縦隔リンパ節郭清であり,この考えは激増している末梢小型肺癌に対しても根強い.しかし,その一方で小型早期癌に対し一律に葉切除と徹底したリンパ節郭清が必要だろうかという疑問もある.このような状況の下で,腫瘍径2 cm以下の末梢肺癌に対する積極的縮小手術である拡大区域切除は術中迅速病理診断を駆使することによって,非浸潤性早期肺癌を選別し,葉切除と同等の成績を得ようとして生まれた.また,近年脚光を浴びている胸腔鏡によるアプローチ(VATS)は標準開胸と同等レベルの質を保てるかという疑問が残る.我々は手術の質を落とすことなく,より多くの症例且つ多様な病態(難易度の高い手術)に適用可能なminimally invasive approachを追求してきた結果,直視を重視したミニ開胸併用VATS(Hybrid VATS)に至った.最近のこのような縮小手術・低侵襲手術への流れは癌の外科治療の変革を示すもので,肺癌においてもその例外ではない.
索引用語:区域切除, 肺癌, ミニ開胸, 縮小手術, 胸腔鏡手術

肺癌 45 (3):261─266,2005

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