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第45巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第19回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

小型肺癌に対する小開胸手術とVATS

呉屋 朝幸1, 塚田 久嗣1, 武井 秀史1
1杏林大学医学部外科

胸腔鏡手術(TSおよびVATS)は普及して10年以上が経過して,その特性は明らかとなった.その結果から,VATSは術後早期においては呼吸機能への傷害が少なく,また,術後1週間以内では鎮痛剤の使用量は少なくてよく,在院期間の短縮が得られるとする認識はほぼ一致している.一方,現在では,従来standard thoracotomyと呼ばれていた開胸術も大きく変遷し,胸筋温存やminimal thoracotomyへと変貌しており,一定程度の侵襲性低減を実現している.その結果,VATSとminimal thoracotomyの比較研究でも侵襲性・術後QOLにおいて差がないとされている.不十分な根拠に基づいて,従来の開胸手術よりもVATSのほうが優れていると結論づける前に,胸腔鏡手術の的確な評価が必要なことを最近の研究は明らかにしている.今後はCT検診による肺癌検診制度の普及により,小型肺癌から,さらに微小肺癌症例の増加が予想されることから肺癌外科手術としては,根治性と低浸襲性を十分に持った術式の確立を求められている.
索引用語:Video-assisted thoracic surgery(VATS), Standard thoracotomy, Minimal thoracotomy, 低浸襲性, 小型肺癌

肺癌 45 (3):281─288,2005

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