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第45巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺癌の骨転移診断における99mTc骨シンチと18FDG-PETとの比較

藤本 栄1, 石井 芳樹1, 福田 健1
1獨協医科大学呼吸器アレルギー内科

目的.肺癌の骨転移において18F-fluorodexyglucose positron emission tomography(18FDG-PET)を99mTc骨シンチと比較し,その有用性を検討した.対象及び方法.2003年4月から2004年10月まで骨シンチとPETとを同時期に施行した肺癌症例を対象とした.骨転移の最終診断は両検査に加え,骨単純X線,CT,MRI及び臨床経過にて判定した.症例は29例で,男性20名,女性9名,平均年齢66.7歳,組織型は扁平上皮癌9例,腺癌13例,腺扁平上皮癌1例,小細胞癌3例,肺胞上皮癌2例,未分化癌1例.病期はIA期6例,IB期1例,IIB期1例,IIIA期6例,IIIB期5例,IV期10例であり,IV期のうち7例に骨転移を認めた.結果.骨シンチでは感度100%,特異度81.8%であり,偽陽性4例あった.PETでは感度100%,特異度86.3%であり,偽陽性3例あった.両検査方法の偽陽性・偽陰性の原因として,(1)PETでは骨周辺部位の病変と骨転移との鑑別が困難な場合があること,(2)骨折病変への取り込みは骨シンチに比較し,PETでは早期に陰性化することなどが挙げられた.結論.PETは骨シンチと同等以上の診断能を有しており,同時に他臓器への転移診断が可能な点を考慮すれば,今後,骨シンチに代わる検査と考えられる.
索引用語:骨シンチ, positron emission tomography(PET), 骨転移

受付日:2005年3月3日
受理日:2005年5月2日

肺癌 45 (4):303─309,2005

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