タイトル
第45巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

縦隔リンパ節に転移を認めた末梢型定型的肺カルチノイドの1例

石倉 久嗣1, 木村 秀1, 沖津 宏1, 湯浅 康弘1, 篠原 勉1, 近藤 治男1
1徳島赤十字病院呼吸器科

背景.末梢型の定型的カルチノイドで縦隔リンパ節に転移を認めるのは非常に稀であるため,若干の文献的考察を加えて報告する.症例.62歳,男性.発熱,肝機能障害で当院入院し加療を受けた際の胸部単純写真にて右肺に径約2 cmの孤立陰影を認め,精査目的で当科紹介となった.胸部CTにて右中葉に1.8 cm大の結節影がみられた.右B5よりの生検にて,小細胞癌疑いと診断され,手術施行.術中迅速診断にても小細胞癌であり,右中葉切除(ND2a)を施行し術後化学療法に備えた.病理所見では,細胞質の乏しい異型の少ない細胞の増殖で,壊死がなく,またmitosisが少ないことよりcarcinoid tumor(typical)と考えられた.免疫組織化学検査でクロモグラニンA,NSE,N-CAMが陽性であり,typical carcinoidとの診断を得たが,縦隔の分岐部リンパ節(#7)のみに転移を認めた.結論.術前に定型的カルチノイドと診断された場合には,縮小手術を基本とし,迅速診断で転移陽性例に対しては標準郭清を行うなどの工夫が必要であると思われた.
索引用語:肺カルチノイド, 定型的カルチノイド, 縦隔リンパ節転移

受付日:2004年11月22日
受理日:2005年5月16日

肺癌 45 (4):373─376,2005

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