タイトル
第45巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

高齢者非小細胞肺癌手術症例の臨床的検討

中川 達雄1, 奥村 典仁1, 三好 健太郎1, 張 性洙2, 松岡 智章1, 亀山 耕太郎1
1倉敷中央病院呼吸器外科, 2香川大学医学部第2外科

目的.75歳以上高齢者肺癌の臨床的側面を明らかにすること.方法.1982年4月から1999年12月迄に根治目的に手術を施行した高齢者102例を含む非小細胞肺癌726例の検討を行った.結果.非高齢者群に比べ高齢者群では,縮小手術の割合が多く(3.5% vs 9.8%;p<0.01),ND2以上郭清の割合が少なかった(91.5% vs 79.4%;p<0.01).病理病期ではIII期の割合が少なく(23.2% vs 12.7%;p<0.05),術後補助療法の割合が少なかった(27.1% vs 11.8%;p<0.05).高齢者群で術前合併症は57.8%,術後合併症は40.2%に認め,手術関連死は3.9%で,非高齢者群1.3%に比べ多い傾向であった(p<0.1).5年生存率はI期で69.6%と良好であったが,非高齢者群に比べ劣っていた(p<0.05).死因では他病死の割合がI期で60.0%と高かった(p<0.05).予後因子解析では,病理病期のみが単変量および多変量解析で有意であった.結論.高齢者群では他病死の割合が多いが,おおむね非高齢者群と同等の予後が得られ,手術は高齢者肺癌において有効な治療法と考えられた.
索引用語:高齢者, 非小細胞肺癌, 手術, 予後, 合併症

受付日:2005年4月28日
受理日:2005年6月28日

肺癌 45 (6):697─703,2005

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