タイトル
第45巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

病理学的に肺気腫を合併していた肺癌切除例における術後予測肺機能の検討―肺容量減少術(LVRS)効果について―

安川 元章1, 中川 勝裕1, 桂 浩1, 岩崎 輝夫1, 大瀬 尚子1
1大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター呼吸器外科

目的.従来の機能的肺切除基準では切除適応外と判断されていた肺気腫合併低肺機能肺癌症例に肺容量減少術(LVRS)効果により手術を施行し得たとする報告が散見されるようになった.そこで,どのような症例でLVRS効果が期待できるかを検討した.対象と方法.肺癌切除術後の残存肺機能(FVC,FEV1.0)について,病理学的に正常肺組織群(61例)と肺気腫合併群(43例)にわけ,予測残存率と実測残存率をpaired t-testにて検定した.結果.正常肺組織群ではFVC,FEV1.0の予測残存率と実測残存率に有意差を認めなかったが,肺気腫群でFEV1.0の実測残存率は予測残存率より高値を示した(p=0.0072).肺気腫群で血流シンチグラム上,切除部位が血流の低下部位と一致した23例で,FVC,FEV1.0の実測残存率はともに予測残存率より高値を示した(FVC:p=0.0042,FEV1.0:p=0.00014).結語.肺気腫合併例で術後残存FEV1.0が予測より高くなり,特に切除部位に血流低下を認める症例でLVRS効果が得られると推察された.
索引用語:肺癌, 術後予測肺機能, 肺血流シンチグラム, 肺気腫, 肺容量減少術

受付日:2005年4月18日
受理日:2005年7月7日

肺癌 45 (6):705─710,2005

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