タイトル
第45巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

上葉発生肺癌におけるリンパ節転移様式と選択的縦隔リンパ節郭清の妥当性に関する検討

櫻井 裕幸1,2, 進藤 俊哉1, 松本 雅彦1
1山梨大学医学部第2外科, 2現 山梨県立中央病院外科

目的.上葉発生肺癌におけるリンパ節転移様式を評価し,選択的縦隔リンパ節郭清の妥当性につき検討した.方法.1986年から2003年までに当院にて切除された原発性肺癌症例中,肺門・縦隔リンパ節郭清(ND2a)が施行された上葉発生肺癌で縦隔リンパ節転移陽性であった44症例を対象とし,リンパ節転移様式を調査した.結果.右上葉発生14症例のうち上縦隔領域リンパ節転移は12例に認められ,下縦隔領域への転移は4例に認められた.スキップ転移は1例で,上縦隔領域リンパ節への転移であり,下縦隔領域へのスキップ転移はなかった.左上葉に関して,上区発生肺癌(22症例)では上縦隔・大動脈領域リンパ節転移は21例に認められ,下縦隔領域リンパ節転移は2例に認められた.スキップ転移は9例に認められ,いずれも大動脈領域への転移であった.舌区発生肺癌(8症例)では上縦隔・大動脈領域リンパ節転移は5例に認められ,下縦隔領域へは7例に認められた.スキップ転移は1例に認められ,multiple stationとして上縦隔・下縦隔領域へ転移を認めていた.結論.右上葉および左上葉上区発生肺癌はそのリンパ節転移様式から,肺門および上縦隔領域リンパ節が術中迅速病理診断にて転移陰性であれば,下縦隔領域リンパ節郭清を省略できる可能性が示唆された.
索引用語:スキップ転移, 選択的縦隔リンパ節郭清, 外科切除

受付日:2005年4月20日
受理日:2005年7月8日

肺癌 45 (6):711─716,2005

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