タイトル
第45巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺MALTリンパ腫の1手術例

鷲尾 一浩1, 西 英行1, 和田 佐恵2, 玄馬 顕一2
岡山労災病院 1外科, 2呼吸器科

肺MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫の1手術例を経験したので報告する.症例.67歳女性.3年前右上葉異常陰影を指摘されたが放置されていた.1年前右肺S3無気肺を認め改善しないため当院紹介となった.胸部CT上,右肺S3に中枢から胸膜まで達する境界明瞭で気管支透亮像をともなう浸潤影を認めた.腫瘍マーカーは正常範囲内であった.気管支鏡検査にてMALTリンパ腫と診断された.Gaシンチ等全身検索行うも他に病変を認めず限局性病変と判断し右上葉楔状切除(ND2a)を行った.術後病理組織学的検査で気管支断端浸潤陽性の可能性が示唆されたが,術後に化学療法,放射線治療は行わず現在経過観察中である.結論.肺MALTリンパ腫は限局性病変に関しては外科的切除の対象と考えられるが現在のところ完全切除の成否と予後との関係に関しては一致した見解は得られていない.迅速病理組織学検査における断端浸潤の判定の困難さ,化学療法および放射線治療の効果に一致した見解が得られていないこと,拡大手術の侵襲の大きさを考慮すると中枢へ進展した肺MALTリンパ腫に対する治療法の選択にはさらなる症例の蓄積が必要と考えられた.
索引用語:肺, MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫, 治療

受付日:2005年1月31日
受理日:2005年7月26日

肺癌 45 (6):729─733,2005

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