タイトル
第45巻第6号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (116K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

胸壁原発悪性リンパ腫の1例

南 寛行1, 佐野 功1, 原 信介1, 土屋 健史2, 岩崎 啓介3
佐世保市立総合病院 1外科, 2内科, 3病理

背景.胸壁原発の悪性リンパ腫は稀であり,その発生原因として慢性結核性膿胸やEBウイルス感染との関連が指摘されている.またその予後は一般に不良である.今回われわれは膿胸や結核の既往がなく,何ら基礎疾患を伴わない本症の1例を経験し,手術と補助化学療法により良好な結果を得たので報告する.症例.17歳男性,右胸壁の疼痛と腫脹を主訴として来院.胸部X線検査,CT検査にて右胸壁軟部組織を中心に第4肋骨の融解を含む直径7 cm大の腫瘤を認めた.腫瘍の経皮針生検において肉腫疑いの悪性細胞を認めたため第3~5肋骨を含む胸壁切除を行った.術後の病理検査ではび漫性大細胞型,非ホジキンB cell typeの悪性リンパ腫であった.術後化学療法としてCHOP(cyclophosphamide,doxorubisin,vincristine,predonisolon)療法を行った.現在,患者は術後5年を経過するが何ら再発の所見なく社会復帰している.結論.われわれは基礎疾患を伴わない胸壁原発悪性リンパ腫の1例を経験し,良好な予後を得ているので報告した.
索引用語:悪性リンパ腫, 胸壁腫瘍, 節外性, 手術

受付日:2005年5月11日
受理日:2005年7月29日

肺癌 45 (6):735─738,2005

ページの先頭へ