 |
第45巻第7号目次 | Japanese/English |
 | Full Text of PDF (132K) Article in Japanese |
─ 症例 ─
肺癌の上腕骨転移に対し，化学療法後に切除を行い長期生存中の1例
原 政樹1, 松崎 泰憲1, 清水 哲哉1, 富田 雅樹1, 綾部 貴典1, 鬼塚 敏男11宮崎大学第二外科
背景．遠隔転移を伴った肺癌症例は，一般に手術適応とはならない．肺癌原発巣切除後，左肩上腕骨骨頭転移に対し，化学療法施行後に切除を行い，長期生存を得た1例を経験したので報告する．症例．62歳男性．1999年10月に右肺上葉腫瘤に対して肺部分切除術を施行．術中病理検査にて原発性肺腺癌の診断を得，引き続き右肺上葉切除術と縦隔リンパ節郭清を行った．外来経過観察中，術前より骨シンチで異常集積がみられ，経過観察していた左上腕骨骨頭部がより明瞭化されてきたため，2000年1月に腫瘍生検を行い，転移性腫瘍との結果を得た．CDDP及びTXTの化学療法を2コース行い，2000年4月に左上腕骨骨頭切除及び人工骨頭置換術を行った．組織学上，摘出した骨転移部に腫瘍は認めず，Ef.3と考えられた．術後5年を経過した現在，無担癌生存中である．結論．肺癌骨転移症例で，化学療法と外科的切除により長期生存が得られたまれな1症例を経験した．
索引用語：肺癌, 骨転移, 化学療法, 長期生存
受付日：2005年5月19日
受理日：2005年8月17日
肺癌 45 (7)：829─832，2005
