タイトル
第45巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

緊急で経皮的心肺補助装置下の気管支鏡検査にて診断し,経鼻挿管下で放射線治療を施行した気管原発扁平上皮癌による高度気管狭窄の1例

奥田 勝裕1, 佐野 正明1
1刈谷総合病院外科

背景.意識障害にて救急外来に搬送され,胸部X線・胸部CTの結果気管狭窄が指摘されたものの,診断・治療方法に苦慮した癌性気管狭窄の1例を経験したので報告する.症例.62歳男性.早朝自宅近くで倒れているところを発見され,救急外来搬送となった.来院時の血液ガス検査では,PaCO2が127 mmHgと高値であった.頭部CT上異常はなく,胸部X線・胸部CT上気管狭窄が明らかであったため,気管狭窄が原因のCO2ナルコーシスによる意識障害と診断した.胸部CT上気管内の狭窄が明らかではあったが,狭窄の原因である腫瘍の性状がはっきりしなかった.そのため,経皮的心肺補助装置(PCPS)下で気管支鏡検査を行い,気管内の観察・生検を行った.腫瘍は比較的軟らかく,経鼻挿管可能であった.迅速診断の結果,扁平上皮癌と診断,放射線治療によって腫瘍は縮小し,独歩退院となった.結論.緊急でPCPS下の気管支鏡検査にて診断し,経鼻挿管下で放射線治療を施行した高度気管狭窄気管癌の1例を経験した.気道閉塞を来す可能性のある気管腫瘍の精査時には,必要があれば経皮的心肺補助装置下で精査をすることが望ましい.
索引用語:気管狭窄, 扁平上皮癌, 放射線治療, 経皮的心肺補助装置

受付日:2004年11月17日
受理日:2005年9月8日

肺癌 45 (7):845─849,2005

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