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第46巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

径20 mm以下の肺野型肺癌のCT診断―画像所見と病理所見および予後との比較―

山田 耕三1
1神奈川県立がんセンター呼吸器科

目的.我々は以前より径20 mm以下の肺野型肺癌を対象として, Thin-section CT(TS-CT)画像における視覚評価(TS-CT画像の肺野条件と縦隔条件での病巣面積の比)での形態分類(含気型・充実型)が, その病理所見や予後に相関し, この分類が肺野型の早期癌の診断基準になる可能性を報告してきた.しかしCT画像の視覚評価のみでは, その形態分類の判別に苦慮する症例が存在し, より定量的な基準作りが必要であると考えられた.対象・方法.対象は最近8年間に当院の外科で切除された径20 mm以下の肺腺癌292例である.Retrospectiveに病変の縦隔条件の長径と肺野条件の長径の比からその消失率を算出し, cut off値を30%, 40%, 50%に設定し, 各々の画像所見と病理所見の対比検討を行った.また, 従来法である視覚評価との比較も行った.結果.消失率30%以下の症例は従来法での充実型に相当し, 予後の悪い一群であった.消失率50%以上の症例は従来法での含気型に相当し, 病理組織学的に予後のよい一群であった.消失率40%前後の症例が, 従来法での分類に苦慮した一群であったが, cut off値を50%に設定することにより, 病理所見や予後が異なる二群に明瞭に大別することが可能となった.結論.今回の定量評価は, 簡便に病理所見や予後と相関した画像分類が可能となり, 肺野型早期癌のCT画像診断における重要な診断基準の一つとなる可能性が示唆された.
索引用語:薄層スライスCT, 早期肺癌, 画像形態分類

肺癌 46 (1):7─14,2006

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