タイトル
第46巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

肺癌に対する根治手術―肺葉切除とリンパ節郭清―

渡辺 俊一1
1国立がんセンター中央病院呼吸器外科

1960年Cahanが,肺門および縦隔の所属リンパ節郭清を伴った肺葉切除をradical lobectomyとして報告して以来,この術式は40年以上を経た現在も肺癌根治手術の基本である.当院での現在の標準開胸法は前鋸筋を温存した11~13 cmの皮切長での後側方開胸である.この開胸法が手術の安全性,quality,手術時間,侵襲度,術後在院日数等の要素を総合的に判断した結果,他の開胸法と比較し最もバランスがとれ優れた方法であると考えている.また,どんな状況下(全面癒着,気管支・血管形成,胸壁浸潤,術中大出血等)においても容易に対応しうる.肺動脈は血管壁を完全に露出する層で血管鞘を剥離し各分枝を切離する.肺静脈は血管鞘を剥離したのち自動縫合器にて切離する.気管支は気管支表面の毛細血管層を薄く残す層で剥離し自動縫合器にて閉鎖する.これらの緻密な切開・剥離操作を電気メスのブレード先端をうまく使いながら行うことで,出血の少ないきれいな術野の手術が短時間で施行可能である.縦隔郭清は解剖学的構造物をskeletonizeしながら,compartmentごとに摘出することを心がける.
索引用語:肺癌, 肺葉切除術, 縦隔リンパ節郭清, 後側方開胸

肺癌 46 (1):15─21,2006

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