タイトル
第46巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺がん検診における経年受診の有効性

笹野 進1, 鳥居 陽子1, 大貫 恭正2
1東京都多摩がん検診センター呼吸器科, 2東京女子医科大学第1外科

目的.肺がん検診における経年受診の有効性について検討した.対象と方法.1998年度から2004年度までの7年間に,当施設で実施した胸部X線検査と喀痰細胞診併用による肺がん検診を受診した40歳以上79歳以下の男女延べ48630名を対象とした.受診者を肺がん検診受診歴に基づき初回受診群,経年受診群に分類し,検診結果,肺がん発見例の臨床的特徴を比較した.結果.初回受診群16222名,経年受診群23669名であった.年齢・性別分布は両群間に有意差はなかった.要精検率は初回受診群6.3%,経年受診群2.6%で有意差を認めた.人口10万対発見率は初回受診群111.0,経年受診群80.3で有意差はないが経年受診群において低かった.肺がん発見例の平均腫瘍径は初回受診群3.5±1.9 cm,経年受診群2.4±1.5 cmで有意差を認めた.臨床病期IA期の割合は初回受診群27.8%,経年受診群68.4%で有意差を認めた.切除率,完全切除率は共に有意差はないが経年受診群において高かった.結論.胸部X線検査と喀痰細胞診併用による肺がん検診において,経年受診は肺がん発見率を上昇させないが,早期の肺がんの発見に有効と考えられた.
索引用語:肺がん検診, 胸部X線検査, 喀痰細胞診, 経年受診, 肺がん発見率

受付日:2005年11月16日
受理日:2005年12月22日

肺癌 46 (1):27─31,2006

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