第46巻第1号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
ゲフィチニブ耐性となった非小細胞肺癌術後再発例に対しTS-1が奏効した1例
井上 匡美1, 南 正人1, 塩野 裕之1, 澤端 章好1, 奥村 明之進11大阪大学大学院医学系研究科外科学講座(E1)呼吸器外科
背景.肺癌に対するセカンドライン治療におけるTS-1の有効性は未だ明らかにされていない.我々はゲフィチニブに耐性となった高齢肺腺癌再発例に対するTS-1投与の臨床経験を報告する.症例.症例は78歳,女性.肺腺癌術後の右下葉部分切除断端再発に対しゲフィチニブが非常に奏効していた.ゲフィチニブ投与1年後に耐性となり断端再々発を認めたためTS-1 100 mg/日(75 mg/m2/日)を28日間投与,14日間休薬で3コースの外来化学療法を施行した.CT検査にて縮小率61%のPRを認め,血清CEA値は16 ng/mlから8 ng/mlに低下した.副作用はGrade 1の食思不振と血清T. Bilの上昇を認めたのみで,QOLは良好に保たれている.結論.TS-1は再発非小細胞肺癌に対するセカンドライン治療のひとつとなる可能性がある.
索引用語:S-1, 肺癌, 再発, 化学療法, gefitinib
受付日:2005年10月20日
受理日:2005年12月7日
肺癌 46 (1):41─44,2006