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第46巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第31回画像診断セミナー ─

肺癌診療に対するFDG-PETの有用性と問題点

原 眞咲1, 白木 法雄1, 北瀬 正則2, 大島 秀一2, 辻 浩子2, 久米 真由美2, 芝本 雄太2, 玉木 恒男3, 西尾 正美4
1名古屋市立大学大学院共同研究教育センター中央放射線部, 2名古屋市立大学大学院量子放射線医学分野, 3名古屋共立病院放射線科, 4名古屋放射線診断クリニックPET画像診断センター

PET装置の導入が近年急速に進んでおり,今後,2-[fluorine-18] fluoro-2-deoxy-D-glucose(FDG)を用いたpositron emission tomography(PET)の重要性が臨床の現場で増大することが予想される.装置自体も改良が進んでおり,2004年より,PETとCTとを融合させたPET/CT装置の発売が本邦においても開始された.搭載されるCTは当初4列型のmulti-detector CT(MDCT)あるいはmulti-slice CT(MSCT)であったが,CT撮影装置の改良に伴って現在では,16列型,8列型も選択可能となっている.FDG-PETは導入当初は非常に高く評価されていたが,報告が進むにつれて,有用性と問題点が明らかになってきた.良悪性診断は,病巣が大きく,高集積な病変では判断が比較的容易と考えられるが,多くの場合,活動性の良性病変との鑑別が問題となる.小病巣においては,部分容積現象の影響が大きくなるため,FDG-PETでは本来高集積の病巣においても,中等度の集積を呈する場合が多くなり鑑別がより困難となる.N因子診断は,メタアナリシス研究では,これまでのCTによる形態診断よりは優れているとされている.一方,手術症例においての精度は,当初から問題視されていた偽陽性のみならず,偽陰性の存在からも,適応決定の際の縦隔鏡を省略することは困難という評価が定まりつつある.M因子評価に際して,FDG-PETは様々な検査を統合し簡素化できる可能性があり,肺癌診療においても有用性が高いと考えられる.本稿においてはFDG-PETの特徴と有用性,問題点についての現況を解説する.
索引用語:PET/CT, FDG-PET, 肺癌, 病期診断

肺癌 46 (1):65─74,2006

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