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第46巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

隣接臓器合併切除を伴う肺癌手術

横井 香平1
1名古屋大学大学院医学系研究科病態外科学講座胸部構築外科学(呼吸器外科)

今日でもなお発見される多くが進行肺癌であり,化学療法や放射線療法を主体とした治療がなされているが,その予後は一般に不良である.一方外科切除は肺癌治療において現在もなお唯一信頼性の高い根治療法であり,局所進行肺癌例に対して日常臨床として隣接臓器合併切除が行われている.隣接臓器浸潤はTNM分類上T3またはT4に区分され,一般的に切除可能と思われる臓器への浸潤を示す腫瘍はT3とされ,切除不能と考えられる臓器浸潤を伴う腫瘍がT4とされている.T3病変に対する外科治療は一般化してはいるが,その治療成績は満足できる結果とは言いがたい.一方近年の外科学および麻酔学の進歩や合併療法の発展により,今まで切除不能と考えられていたT4症例にまで根治を目的とした外科治療が行われ始めている.本稿では,これら隣接臓器浸潤例に対する外科治療成績を,胸壁,肺尖部胸壁,横隔膜,気管分岐部,左心房,上大静脈,大動脈,椎体の各臓器毎に,さらにT4に分類される癌性胸膜炎についての外科治療についてもレビューし,局所進行肺癌における外科治療の役割と今後の方向性を考察する.
索引用語:肺癌, 局所進行肺癌, 隣接臓器浸潤, 合併切除, 拡大手術

肺癌 46 (2):91─99,2006

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