タイトル
第46巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

原発性肺癌におけるFDG-PETの有用性の検討

浦本 秀隆1, 杉尾 賢二1, 仲田 庄志1, 宗 哲哉1, 小野 憲司1, 菅谷 将一1, 花桐 武志1, 本間 穣2, 安元 公正1
1産業医科大学第2外科, 2福岡和白PET画像診断クリニック

目的.現在,肺癌におけるFDG-PET検査の臨床的な有用性は確立しているが,偽陽性,偽陰性も少なからず報告されている.そこで,肺孤在性病変の診断に対する良悪性の鑑別,リンパ節転移診断について有用性を検討した.対象.2004年3月~2005年7月までに原発性肺癌を疑い,良悪性の鑑別または病期診断の目的でFDG-PETを施行した後,最終的に手術を施行した37例を対象とした.内訳は,男性27例,女性10例.平均年齢66.7(49~82)歳で,良性疾患が4例(サルコイド反応結節1例,硬化性血管腫1例,過形成を伴う線維化1例,炎症性リンパ節1例),肺癌が33例であった.手術は肺全摘1例,肺葉切除30例,区域切除1例,部分切除5例で,肺癌の組織型は,腺癌18例,扁平上皮癌9例,大細胞癌2例,その他4例であり,病理病期は,IA 11例,IB 8例,IIB 3例,IIIA 4例,IIIB 5例,IV 2例であった.結果.主病巣はPET陽性32例,陰性5例,肺癌では陽性31例,陰性2例,良性疾患では陽性1例,陰性3例,であった.感度は93.9%,特異度は75.0%であり,偽陰性の2例はスリガラス様陰影比率50%以上かつ最大径1 cm以下の腺癌(野口分類B型)であった.肺門リンパ節における感度,特異度はそれぞれ,100%,85.2%で,縦隔リンパ節のおける感度,特異度はそれぞれ66.7%,84.0%であった.結論.原発巣については1 cm以下の腺癌でスリガラス様陰影比率の高いものはPET検出に限界がある.一方,良性疾患の偽陽性も存在する.FDG-PET検査の長所と限界を把握し,肺癌診療に用いるべきである.
索引用語:肺癌, FDG-PET検査, 偽陽性, 偽陰性

受付日:2005年11月4日
受理日:2006年1月23日

肺癌 46 (2):127─131,2006

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