タイトル
第46巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺野末梢型病変に対するMRI診断の有用性

田中 良太1, 堀越 浩幸2, 中里 宜正1, 吉野 麗子3, 飯島 美砂4, 呉屋 朝幸5, 湊 浩一3
群馬県立がんセンター 1呼吸器外科, 2放射線診断部, 3呼吸器内科, 4病理部, 5杏林大学医学部外科学教室

背景.肺野末梢型病変に対してCTによる画像解析のみでは正診率が低く,治療方針を決定するには未だ十分であるとはいえない.我々はさらなる質的診断の向上を目指してMRIを利用している.対象と方法.2005年4月から12月までに当センター呼吸器外科において手術を施行した75症例のうち,術前にMRIを施行した肺野末梢型病変43例を対象とした.疾患の内訳は悪性病変37例(原発性肺癌30例,転移性悪性腫瘍7例),非悪性病変6例である.使用シーケンスはSTIR法,呼吸同期下高b値拡散強調画像(DWI),ダイナミックスタディーである.なおSTIR,およびDWIは4段階にスコア化して視覚的に評価した.結果.良悪の鑑別に関する検討ではDWIで中等度以上の信号(スコア3以上)が悪性病変で81.1%(37例中30例),非悪性病変で33.3%(6例中2例)であり悪性病変において有意に高頻度であった.DWIスコアが3以上,もしくはダイナミックスタディーによるtime-intensity curveで急峻な立ち上がりを示した病変を陽性と判定するとsensitivityが86.5%,specificityが66.7%,accuracyが83.7%であった.偽陰性5例すべてが小型肺腺癌で,病理学的に浸潤傾向の乏しい病期IA期の症例であった.結語.肺野末梢型病変に対する高b値拡散強調画像はNoguchi分類のType AまたはBのような悪性度の低い癌を選別するのに有用であると思われる.
索引用語:脂肪抑制法, 拡散強調画像, 核磁気共鳴検査, 肺癌, ダイナミックスタディー

受付日:2006年2月24日
受理日:2006年4月13日

肺癌 46 (3):199─205,2006

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