タイトル
第46巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

細気管支肺胞上皮癌様の肺内進展を呈した悪性胸膜中皮腫の1例

杉野 圭史1, 川畑 雅照1, 本間 栄1, 河野 匡2, 元井 紀子3, 吉村 邦彦1
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 1呼吸器センター内科, 2呼吸器センター外科, 3病理部

背景.細気管支肺胞上皮癌(BAC)様の肺内進展を呈した非常に稀な悪性胸膜中皮腫の1例を経験したので報告する.症例.72歳男性,喫煙歴およびアスベスト曝露歴あり.右胸水で発症し,結核性胸膜炎を疑われ,ドレナージと抗結核薬投与にて一時改善するも1年後に増悪した.胸腔鏡では,壁側胸膜および肺表面に多数の白色調小結節が認められ,生検した胸膜および肺組織では,立方上皮様の腫瘍細胞が肺胞上皮置換性に増殖し,細気管支肺胞上皮癌に類似した病理組織像を呈した.免疫組織化学的染色では,calretinin,HBME-1ならびにcytokeratin5/6などの中皮系マーカーが陽性,TTF-1やCEAなどの肺胞上皮系マーカーが陰性であったため,悪性胸膜中皮腫と診断された.結論.BAC様の肺内進展を呈する悪性胸膜中皮腫は非常に稀であり,診断には免疫組織化学染色が有用であった.
索引用語:悪性胸膜中皮腫, 細気管支肺胞上皮癌, 胸腔鏡下肺生検

受付日:2005年8月11日
受理日:2006年4月12日

肺癌 46 (3):215─220,2006

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