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第46巻第3号目次 Japanese/English

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─ 第20回日本肺癌学会肺癌ワークショップ <セッションI> ─

cDNAマイクロアレイを用いた各種病型肺癌のトランスクリプトーム解析

野村 仁1
1東京大学先端科学技術研究センターシステム生物医学

目的.各種病型肺癌の診断・治療あるいは予後の予測に有用な分子マーカーを同定する.研究計画(方法).cDNAマイクロアレイを用いて各種病型肺癌,正常肺組織からなる臨床検体,各種病型肺癌に由来する細胞株の遺伝子発現プロファイルを解析する.結果.解析に用いる遺伝子セットから培養細胞あるいは臨床検体全般に固有な遺伝子を除去する事により病型の特質を反映したクラスター分離が可能となった.この処理により小細胞性肺癌と扁平上皮肺癌では病態モデルとして有用な細胞株が選別された.さらに階層クラスタリングにより小細胞性肺癌とLCNECからなる神経内分泌系腫瘍は予後の異なるグループに分類された.予後不良群で高発現の遺伝子に対するsiRNAを用いて細胞増殖やアポトーシス感受性への影響を検討したが,これまでのところ有望な治療標的候補遺伝子の同定には至っていない.結論.予後不良群に選択的な分子標的を見出す為にはさらに多くの候補遺伝子について検討を広げる必要があると考えられた.
索引用語:マイクロアレイ, 小細胞性肺癌, LCNEC, 神経内分泌系腫瘍, siRNA

肺癌 46 (3):223─230,2006

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