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第46巻第3号目次 Japanese/English

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─ 第20回日本肺癌学会肺癌ワークショップ <セッションIII> ─

局所進行非小細胞がん治療におけるチロシン・キナーゼEGFR阻害薬:胸部放射線治療との併用療法

大江 裕一郎1
1国立がんセンター中央病院肺内科

切除不能局所進行非小細胞がんに対する標準的治療は化学療法と同時放射線治療であることがほぼコンセンサスとなっているが,治療成績向上のために新たなstrategyが必要と考えられる.Epidermal growth factor receptor(EGFR)を標的とする分子標的治療薬,ゲフィチニブは進行非小細胞肺がん,特に腺がん,非喫煙者,女性,東洋人などには高い効果を示すことが知られており,基礎研究では放射線治療との相乗効果も報告されている.Japan Clinical Oncology Group(JCOG)ではゲフィチニブ併用の意義を検証する放射線化学療法の第III相試験を念頭に置き,シスプラチン+ビノレルビンによる化学療法後にイレッサと放射線治療を同時併用する臨床試験(JCOG0402MF)が進行中である.欧米で実施されたINTACT,ISEL,S0023などの第III相試験でゲフィチニブの延命効果が示されなかったが,ゲフィチニブをはじめとするチロシン・キナーゼEGFR阻害薬の導入は局所進行非小細胞がんの治療成績を向上させるための最も期待できるstrategyであることに変わりはない.
索引用語:局所進行非小細胞肺がん, 化学放射線治療, EGFR阻害薬, ゲフィチニブ

肺癌 46 (3):261─265,2006

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