第46巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 総説 ─
肺大細胞神経内分泌癌
伊豫田 明1, 廣島 健三2, 中谷 行雄2, 藤澤 武彦1千葉大学大学院医学研究院 1胸部外科学, 2診断病理学
1999年にWHOの肺癌組織分類が改定され,大細胞癌がより詳細に分類された.これは単に組織型が細分化されただけでなく,肺癌の予後を組織型から推測するという観点からみても非常に大きな意味をもつものであった.特に肺大細胞神経内分泌癌(large cell neuroendocrine carcinoma,以下LCNEC)は実際には稀な腫瘍ではなく,認識の広がりに伴って診断される機会が多くなっている.1991年のTravisらの報告以降,LCNECは,aggressive behaviorを有しており,予後不良な症例が多いという認識はほぼ大勢となりつつある.分類上は大細胞癌の一亜型として分類されてはいるが,生物学的特徴は小細胞癌と類似した特徴を有しており,high-grade neuroendocrine tumorに分類されるべきカテゴリーであると考えられる.治療方法は,術前診断が難しい症例が多く,術後摘出標本の病理組織診断で確定診断がえられる症例が多いため,現時点では手術療法が中心となるが,予後不良なことから考えても手術療法のみでは十分ではなく,病理病期IA期症例を含めて術後補助化学療法を加えた集学的治療が必要である.
索引用語:肺癌, 大細胞神経内分泌癌
肺癌 46 (4):315─320,2006