 |
第46巻第4号目次 | Japanese/English |
 | Full Text of PDF (884K) Article in Japanese |
─ 原著 ─
UIP病変（Usual Interstitial Pneumonia Pattern/Lesion）を有する個体での術後急性増悪
河端 美則1, 星 永進2, 生方 幹夫3, 高柳 昇3, 杉田 裕3, 青山 克彦4, 山田 勉5, 上原 健司6, 水谷 智彦6埼玉県立循環器・呼吸器病センター 1病理科, 2呼吸器外科, 3呼吸器内科, 4NHO東埼玉病院呼吸器外科, 日本大学医学部 5病理学教室, 6内科学講座神経内科部門
目的．UIP病変（Usual interstitial pneumonia pattern/lesion）を有する個体での急性増悪に関与する組織学的所見を知ること．対象と方法．肺癌のため肺葉以上の切除がされた症例の中で，びまん性（胸膜直下10 mm以上の幅の線維化）または限局性（胸膜直下10 mm以下の幅）UIP病変を有し，急性増悪を示した12例（増悪群）と急性増悪の無かった対応する24例（非増悪群）．増悪群は全例男性．平均年齢±標準偏差は68±7歳，びまん性/限局性は7/5例．代表的な部位3カ所のヘマトキシリン・エオシン染色と抗EMA抗体と抗ユビキチン抗体による免疫染色を実施し，病変の活動性と組織傷害性に関係する病変の定量的評価を行った．結果．5％以下の危険率で有意差が得られたのはa．間質性炎症の幅，増悪群2.4±1.3，非増悪群1.3±1.3 mm，b．線維化内および接した部位の幼若肉芽組織数21.4±12.2，12.6±9.1，c．陳旧性線維化から離れた部位の幼若肉芽組織と間質性炎症カ所7±5.9，3.7±3.1，d．フィブリンを伴う急性間質性炎症カ所1.6±3.2，0.25±0.6であった．結論．上記UIP病変活動性の指標は急性増悪の背景因子になり得る．
索引用語：通常型間質性肺炎, 急性増悪, 肺癌, 肺葉切除
受付日：2006年1月13日
受理日：2006年6月19日
肺癌 46 (4)：329─336，2006
