タイトル
第46巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

抗癌剤を投与した翌日に一過性脳虚血発作を生じた手術不能非小細胞肺癌の1例

永廣 格1
1姫路赤十字病院外科

背景.抗癌剤投与に伴う脳血管障害は比較的稀である.今回,手術不能肺癌症例に対して抗癌剤投与を行った翌日に一過性脳虚血発作(TIA)を生じた1例を経験した.症例.50歳男性,咳嗽・喀痰で発症し精査にて右肺門部に発生した扁平上皮癌と診断された.左房浸潤と左鎖骨上窩リンパ節転移がありT4N3M0 stage III Bにて手術不能と判断し2004年11月よりシスプラチン+ドセタキセル+放射線同時照射の治療を行った.その後外来で経過観察していたが腫瘍の再増大を認めたため2005年6月にカルボプラチン+パクリタキセルの投与を行った.投与翌日の早朝突然左片麻痺と構語障害を生じ,約1時間で完全に回復した.同日行われた頭部MRIおよびMRA・心電図・心エコーでは異常所見を認めず,TIAと診断された.2005年10月,ビノレルビンを投与した翌日にも再び左片麻痺と講語障害が出現し,やはりTIAと診断された.その後は発作もなく担癌生存中である.結論.抗癌剤の副作用として脳梗塞・TIAなどの脳血管障害にも注意が必要と思われた.
索引用語:進行肺癌, 化学療法, 一過性脳虚血発作, 脳血管障害, 副作用

受付日:2006年2月20日
受理日:2006年4月19日

肺癌 46 (4):353─356,2006

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