タイトル
第46巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ソマトスタチン受容体・核医学検査により術前に確定診断した異所性ACTH産生気管支カルチノイドの1例

多久和 輝尚1, 長谷川 誠紀1, 田中 文啓1, 和田 洋巳2
1兵庫医科大学呼吸器外科, 2京都大学大学院医学研究科呼吸器外科

背景.異所性ACTH産生腫瘍はその微小さから局在診断が困難な場合が多い.局在診断をソマトスタチン受容体の存在を指標とする画像診断にて行い,腫瘍摘出し軽快した症例を報告する.症例.34歳男性.全身倦怠感にて近医受診し,クッシング症候群の診断を得た.異所性ACTH産生腫瘍を示唆されたが,当初はCT,MRI,FDG-PETにて原発巣を指摘出来なかった.ソマトスタチンの同族体である111In-ペンテトレオチドシンチを用いた核医学検査で右中肺野の微小集積を認め,肺原発のホルモン産生腫瘍の存在を疑い胸部Thin-slice CTにて再検すると,核医学検査と一致する部位に微小結節を確認した.3D再構成し腫瘍の位置を確認した上で気管支鏡下に生検を行い,ACTH産生型カルチノイドの診断を得ることが出来た.核医学検査を局所診断の手助けにし,その後の胸部CT,気管支鏡の再評価にて確定診断を行うことが出来た.結論111In-ペンテトレオチドシンチにより術前から異所性ACTH産生気管支カルチノイドの診断を得て,腫瘍切除後に良好な経過をとり得た1例を報告する.
索引用語:異所性ACTH産生腫瘍, 気管支カルチノイド, クッシング症候群, 111In-ペンテトレオチドシンチ

受付日:2005年11月4日
受理日:2006年6月5日

肺癌 46 (4):375─378,2006

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