タイトル
第46巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

性差と喫煙が非小細胞肺癌患者の予後に及ぼす影響

前田 元1, 深井 志摩夫2, 小松 彦太郎3, 石川 清司4, 河原 正明5, 国立病院機構肺がん研究会
1国立病院機構刀根山病院外科, 2国立病院機構茨城東病院外科, 3国立病院機構中信松本病院外科, 4国立病院機構沖縄病院外科, 5国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科

目的.女性肺癌の予後が良好なことが指摘されているが,性差と喫煙が非小細胞肺癌患者の予後にどのような影響を及ぼすかについて検討した.対象および方法.1975年から1997年の間に切除された非小細胞肺癌患者12,703例を対象とした.症例を以下の4つのグループに分けて,その臨床像を解析した.第1群:男性喫煙者(MS)8,103例,第2群:男性非喫煙者(MN)877例,第3群:女性喫煙者(FS)797例,第4群:女性非喫煙者(FN)2,926例の4群である.結果.第1群では扁平上皮癌の割合が52.2%と高いのに対し,第4群では腺癌の割合が89.4%と高かった.IA期の占める割合は第1群24.1%,第2群30.2%,第3群30.4%,第4群39.5%と,後者ほど高かった.各群の5年生存率は,第4群が52.9%ともっとも良く,第3群が50.8%,第2群が43.2%,第1群が42.5%と次第に低下した.解析項目として,この性差と喫煙による群分け以外に,年齢,組織型,手術術式,病理病期を加えて多変量解析を行った.hazard ratio(HR)は第4群に対して,第1群で1.369,第2群で1.319と有意に大きな値を示した(p<0.0001).第3群のHRは1.048であった(n. s.).年齢,組織型,手術術式,病理病期もそれぞれ独立した有意な予後因子であった.結論.性差と喫煙による群分けは独立した有意な予後因子であった.
索引用語:非小細胞肺癌, 性差, 喫煙, 手術, 予後

受付日:2006年6月5日
受理日:2006年7月31日

肺癌 46 (6):715─721,2006

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