タイトル
第46巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

孤立性の縦隔リンパ節転移として発見された胸膜中皮腫の1例

坂巻 靖1, 城戸 哲夫1, 安川 元章1, 小牟田 清2, 長谷川 誠紀3, 中野 孝司4
大阪警察病院 1呼吸器外科, 2呼吸器科, 兵庫医科大学附属病院 3呼吸器外科, 4呼吸器RCU科

背景.胸膜中皮腫において縦隔リンパ節転移が最初の可視病変で,かつその生検から確定診断に至る例は稀である.症例.患者は71歳女性.69歳時,腎癌術後2年経過時点での胸部CTで傍上行大動脈リンパ節の腫大を認められ,胸腔鏡下生検の結果中皮腫と診断されたが他に可視病変を認めず経過観察となった.2年後労作時息切れと左胸水貯留を認められ転医のうえ精査となり,胸腔鏡下胸膜生検によりびまん性胸膜中皮腫との診断に至った.現在化学療法継続中で十分な病勢のコントロールと良好なperformance statusを維持している.結論.孤立性のリンパ節転移が唯一の初期可視病変である中皮腫では,胸膜病変の顕性化の早期発見と,胸腔鏡下生検により遅滞なく確定診断を得ることが重要である.N2 diseaseの中皮腫の治療では,患者の状態に応じた化学療法の選択により良好な状態の維持が可能である.
索引用語:胸膜中皮腫, 縦隔リンパ節転移, 悪性胸水, 胸膜生検, 胸腔鏡下手術

受付日:2006年5月29日
受理日:2006年7月18日

肺癌 46 (6):727─731,2006

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