タイトル
第46巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

間質性肺炎の経過中に気胸を契機に発見された両側性多発肺扁平上皮癌の1例

木村 岳史1, 山崎 誓一1, 小泉 知展1, 久保 惠嗣1, 兵庫谷 章2, 吉田 和夫2
信州大学医学部 1内科学第一講座, 2外科学第二講座

背景.特発性肺線維症に,肺癌が合併することは決してまれではない.今回,気胸を契機に両側性の多発肺癌を合併した症例を経験したので報告する.症例.70歳,男性.1994年より臨床的に特発性肺線維症と診断され,経過観察されていた.2005年右気胸を生じ,難治性のため手術を施行した.その際に右上葉胸膜側に約2.5 cm大の結節を認め,その組織所見にて肺扁平上皮癌と診断された.全身検索を行ったところ,左上葉胸膜側にも2 cm大の結節陰影を認め,手術にて同様に肺扁平上皮癌と診断された.両病変とも気管上皮内への浸潤を認め,肺門・縦隔のリンパ節転移および遠隔転移を認めないことから,同時多発の肺癌と考えられた.結論.特発性肺線維症の経過においては,このように多発肺癌の合併にも注意を要すると考え,報告する.
索引用語:特発性肺線維症, 気胸, 同時多発肺癌

受付日:2006年4月3日
受理日:2006年8月15日

肺癌 46 (6):747─751,2006

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