タイトル
第46巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

胸壁から発生し胸腔内へ進展した脂肪肉腫の1例

小林 哲1, 澤端 章好1, 苅部 陽子1, 吉井 直子1, 本間 浩一2, 三好 新一郎1
獨協医科大学 1胸部外科, 2形態病理

背景.胸壁発生の胸腔内進展脂肪肉腫は自験例も含めて23例の報告を認めるのみで,非常に稀な疾患である.我々は本疾患の1切除例を経験した.症例.患者は39歳女性.腰痛,右下肢痛にて近医を受診し,左胸壁腫瘍,腰部腫瘍,左腎腫瘍を指摘され紹介となった.胸部CTで左胸腔内に突出する胸壁腫瘍を認めた.胸壁の針生検で脂肪肉腫と診断した.胸壁腫瘍は急速に増大し,呼吸状態も悪化したため手術を施行した.病理組織検査で円形細胞型と混在した粘液型脂肪肉腫と診断した.胸壁と腰部にcisplatinを併用した同時化学放射線療法を施行し独歩可能となり退院した.4ヶ月後,肺・肝・大腿部筋組織・骨盤に転移を認め再入院.放射線治療と化学療法を施行し各転移巣の急速な増大は抑えられ,特に同時化学放射線療法を施行した大腿部は画像上増大を認めなかった.しかしながら術後1年2ヶ月目に腫瘍死した.剖検では胸壁の局所再発は認めなかった.結論.脂肪肉腫に対して外科切除後に同時化学放射線療法を行い,局所再発を認めなかった.同時化学放射線療法は転移巣に対し有効と思われた.
索引用語:胸壁脂肪肉腫, 胸腔内脂肪肉腫, 胸腔, 外科切除, 同時化学放射線療法

受付日:2006年5月18日
受理日:2006年8月23日

肺癌 46 (6):753─758,2006

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