タイトル
第46巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

化学療法が著効を呈した胸腺未分化癌の1例

中村 治彦1, 川崎 徳仁1, 田口 雅彦1, 北村 創2
国際医療福祉大学附属熱海病院 1呼吸器外科, 2病理

背景.胸腺癌は比較的稀な疾患であり,非切除例に対する化学療法の有効性は確立されていない.症例.70歳の女性.呼吸困難を主訴として来院し,上大静脈と両肺に浸潤する前縦隔腫瘍が指摘された.穿刺針生検で胸腺未分化癌の診断を得たが,根治切除不能と判断し,cisplatinとetoposideによる化学療法を3サイクル行い,診査生検を行ったところ,切除組織の病理検索で腫瘍生細胞は完全に消失していた.放射線治療を追加し,化学療法終了後10か月経過した現在,局所再発や遠隔転移は認めていない.結論.胸腺未分化癌に対しcisplatinとetoposideによる化学療法が著効を呈した1例を経験した.胸腺癌の組織亜型に基づく化学療法感受性のデータ集積は重要と考えられる.
索引用語:胸腺腫, 胸腺癌, 未分化癌, 化学療法

受付日:2006年4月28日
受理日:2006年8月28日

肺癌 46 (6):765─768,2006

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