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第46巻第7号目次 Japanese/English

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─ 第21回肺癌集検セミナー ─

LSCT(Lung Cancer Screening CT)検診の将来予測―XP検診と比較して―

飯沼 武1
1放射線医学総合研究所医学物理部

目的.LSCT肺癌検診の普及によって,19年後の日本の肺癌死亡がどの程度減少させられるかを予測し,具体的な肺癌死亡低減策を提案する.方法.現時点でのLSCT検診の数値と筆者の癌検診定常モデルを用いて,不介入群に対する検診群の相対リスクを求める.続いて,2025年の肺癌罹患数から肺癌死亡数を算出し,日本人男女40~84歳代の50%にLSCT検診が普及した場合にどの位の肺癌死亡減少となるかを示す.結果.2025年の肺癌罹患数は全年齢で男性74982人,女性29616人,40~84歳では男性62982人,女性21314人となり,2002年に比して約50%の増加である.もし,2025年に検診を実施していないとすると,肺癌死亡数は男性67484人,女性26654人と計算された.それに対し,40~84歳男女50%にLSCT検診を実施すると,肺癌死亡数は男性51738人,女性21326人となり,RRは男性0.77,女性0.80が達成できる.結論.LSCT検診の対象集団50%以上の普及により,2025年には肺癌死亡を22%(RR=0.78)減らすことができる.
索引用語:LSCT肺癌検診, 将来予測, 肺癌死亡, 相対リスク, 癌検診モデル

肺癌 46 (7):835─841,2006

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