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第46巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第21回肺癌集検セミナー ─

間接写真での集団検診

祖父江 友孝1
1国立がんセンターがん予防・検診研究センター情報研究部

わが国では,1987年にX線と喀痰細胞診による肺がん検診が老人保健事業に導入されて,すでに18年が経過している.事後的にではあるが,宮城・新潟・岡山などの地域で行われた症例対照研究により,肺がん死亡減少効果を示唆する成績を得ており,有効性を示す科学的証拠が得られている.従って,肺がん検診が正しく実施されていれば,その成果が目に見える形で確認されるはずである.ところが,年齢調整罹患率(地域がん登録研究班全国推計値)と年齢調整死亡率(人口動態統計全国値)の年次推移を対数表示してみると,両者はほとんど平行に推移している.これは,早期発見による死亡減少効果が全国レベルではほとんど観察されないことを示している.一方で,宮城・新潟・岡山の女性においては,全国に比べて肺がん死亡率の減少の程度が大きい.これらの地域では,精度の高い肺がん検診が高い受診率で実施されているのかもしれない.その他の地域においては,現状の肺がん検診を漫然と継続しても肺がん死亡減少は期待できず,根本的な見直しが必要である.
索引用語:肺がん, 集団検診, 胸部X線, 有効性, 死亡率

肺癌 46 (7):859─862,2006

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