タイトル
第47巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

原発巣不明肺悪性黒色腫の1例

岡本 珠紀1, 庄司 剛1, 板東 徹1, 高橋 剛士1, 和田 洋巳1
1京都大学呼吸器外科

肺病変によって発見された,原発巣不明の悪性黒色腫の1例を経験したので報告する.症例.50歳男性.検診にて胸部異常陰影を指摘された.胸部CT上両肺に多発結節影を認められたため精査目的で当院に紹介された.右開胸肺生検を行い,術中迅速病理診断で腺癌の診断であったため右上葉切除を施行した.術後永久標本での病理診断にて悪性黒色腫と診断された.翌月左肺結節に対して肺部分切除施行,2ヶ所の結節から悪性黒色腫の診断を得た.術後再度全身検索を行ったが原発巣を確認できなかった.しかし約10年前爪が黒色変性し,自然消退した既往があったため,その部分が原発であった可能性がある.術後DAV-Feronにて化学療法を施行したが,左肺切除5ヶ月後に肺・肝・椎体に転移巣が出現し,現在も治療継続中である.結論.肺病変によって発見された原発巣不明の肺悪性黒色腫の1例を経験した.肺原発の悪性黒色腫は非常にまれであり,また悪性黒色腫は原発巣が自然消退する頻度が高いため,原発巣の入念な検索が必要である.
索引用語:悪性黒色腫, 肺, 自然消退, 原発不明, 肺転移

受付日:2006年5月1日
受理日:2006年12月4日

肺癌 47 (1):53─57,2007

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