タイトル
第47巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺結核と原発性肺癌合併症例の臨床的特徴と問題点の分析

杉野 圭史1,2, 本間 栄1,2, 宮本 篤1, 高谷 久史1, 坂本 晋1, 川畑 雅照1, 岸 一馬1, 坪井 永保1, 吉村 邦彦1
1国家公務員共済組合連合会虎の門病院呼吸器センター内科, 2東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科

目的.肺結核と原発性肺癌の合併症例の臨床的特徴ならびに問題点を分析し,今後の対策について検討した.対象および方法.1985年から2005年までの21年間に当院に入院した活動性肺結核患者788例および肺結核治療後の患者240例の中で,原発性肺癌を合併した17例を対象とし,患者背景,画像所見,予後をretrospectiveに検討した.結果.17例の内訳は男性15例,女性2例,平均年齢は73.4歳であった.肺癌の組織型では,腺癌が10例と最も多く,病期では,同時型(活動性肺結核が肺癌と同時期に発症・発見されている症例)が5例で全例III期,IV期の進行例であったのに対し,異時型(肺結核後遺症あるいは,すでに化学療法が終了し排菌のない症例)12例では,4例(33%)においてI期の早期肺癌が発見された.両疾患の病巣が同側肺あるいは同一葉内に存在する割合は,同時型でそれぞれ4例(80%),3例(60%)で,異時型ではそれぞれ8例(67%),1例(8%)で,同時型の方が同一葉内に存在する傾向が高かった.考察.肺結核と肺癌が合併した症例のうち,とくに同時型では,進行肺癌で診断されることが多く,予後が不良である.注意深い観察と積極的な診断および治療へのアプローチが必要である.
索引用語:肺結核, 肺結核後遺症, 原発性肺癌

受付日:2006年7月19日
受理日:2007年1月12日

肺癌 47 (2):97─103,2007

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