タイトル
第47巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

癌病巣内にサルコイド様反応を伴った肺腺癌の1例

蜂須賀 康己1, 魚本 昌志1
1財団法人永頼会松山市民病院呼吸器外科

背景.非乾酪性の類上皮細胞肉芽腫が,サルコイドーシスを合併しない悪性腫瘍の患者に認められる場合がまれに存在し,サルコイド様反応と呼称される.症例.症例は82歳の女性.拡張型心筋症にて当院循環器内科で経過観察中,2006年5月の胸部CTにて,右肺S4に径1.5 cmの腫瘤を指摘された.気管支鏡下に擦過細胞診を施行したが,確定診断はえられなかった.胸腔鏡下に腫瘤の切除生検を行い,術中病理診断にて肺腺癌との診断をえて,中葉切除とリンパ節郭清を施行した.切除肺の病理組織像において,癌病巣内に多数の小肉芽腫形成を認めた.この肉芽腫は肺癌に伴うサルコイド様反応と診断した.郭清したリンパ節には転移およびサルコイド様反応は認めなかった.結論.画像上悪性所見を呈する肺腫瘤に対し,気管支鏡下生検などで類上皮細胞肉芽腫のみが認められたとしても,本病態を念頭におき,さらなる経過観察または切除生検を行うべきである.
索引用語:サルコイド様反応, サルコイド反応, 肺癌, 肺腺癌

受付日:2006年10月23日
受理日:2007年1月12日

肺癌 47 (2):113─118,2007

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