タイトル
第47巻第3号目次 Japanese/English

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─ 総説 ─

中皮腫の病理

井内 康輝1, 武島 幸男1, 櫛谷 桂1
1広島大学大学院医歯薬学総合研究科病理学

近年本邦においては,中皮腫発生の増加が著しい.これは1960年代から1990年代半ばにかけてのアスベストの大量使用の影響であり,中皮腫発生は2010年から2015年頃に最大1700例に達すると推測される.昨年,アスベスト曝露者の救済法が作られ,中皮腫患者の救済には中皮腫の病理診断が重要とされたが,現状では病理診断の精度は充分とはいえない.中皮腫の診断には組織型に従って適切な抗体を用いた免疫組織化学的染色が求められる.鑑別診断としては,上皮型では肺腺癌,肉腫型では真の肉腫や肺の肉腫様癌,腹膜の上皮型中皮腫では卵巣や腹膜の漿液性癌,線維形成型では線維性胸膜炎があげられる.小さな生検材料での中皮腫の初期段階の診断が,患者の予後改善には必須である.
索引用語:中皮腫, アスベスト曝露, 鑑別診断, 免疫組織化学的染色

肺癌 47 (3):223─232,2007

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