タイトル
第47巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺癌との鑑別が困難であった血清抗原陰性の肺クリプトコッカス症の2例

池亀 聡1, 猪島 一朗1, 大内 洋1, 原田 英治1, 藤田 昌樹1, 中西 洋一1
1九州大学大学院胸部疾患研究施設

背景.肺クリプトコッカス症は肺内に単発の結節影を呈することがあり,しばしば肺癌との鑑別が問題となる.肺クリプトコッカス症の診断には,血清クリプトコッカス抗原の有用性が強調されている.しかし,孤立性肺結節陰影を呈する肺クリプトコッカス症では血清抗原陰性例が少なからず存在していることが指摘されてきている.最近,我々は血清クリプトコッカス抗原陰性の孤立性肺結節陰影を呈した肺クリプトコッカス症例を2例経験したので報告する.症例.症例1は健診で胸部X線写真が,症例2は微熱を契機に胸部X線写真が撮影され,肺内に孤立性結節陰影を指摘された.胸部CTではともに散布巣を認めず,スピキュラを伴っており,肺癌が強く疑われた.前者は気管支鏡にて,後者は胸腔鏡下肺生検にてクリプトコッカス症と診断し,ともにフルコナゾールにて治療した.結論.肺クリプトコッカス症で孤立性肺結節陰影を呈する場合,血清クリプトコッカス抗原陰性を呈することがあり,肺癌との鑑別にはさらに有用な検査の開発が待たれる.
索引用語:肺クリプトコッカス症, クリプトコッカス抗原, 肺結節

受付日:2007年1月5日
受理日:2007年3月1日

肺癌 47 (3):251─255,2007

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