第47巻第3号目次 | Japanese/English |
Full Text of PDF (422K) Article in Japanese |
─ 症例 ─
原発性肺癌術後に骨格筋転移,心筋転移を認めた1例
大塩 麻友美1, 高萩 亮宏1, 尾崎 良智1, 澤井 聡1, 手塚 則明1, 藤野 昇三11滋賀医科大学呼吸器外科
背景.原発性肺癌症例での骨格筋転移・心筋転移は比較的稀である.症例.患者は,81歳女性.2005年7月右上葉肺癌(扁平上皮癌)に対して右肺上葉切除術(ND2a)を施行し,pT2N1M0 stage IIBと診断した.同年8月左肩に腫瘤を自覚.転移を疑いFDG-PETを施行したところ,左僧帽筋及び左心室心筋に集積を認めた.CTにても同部位に腫瘤像を認めたが,心エコーでは明らかな腫瘤は認めなかった.9月に左肩腫瘤摘出術を施行し,肺癌の左僧帽筋転移と診断した.経過中左心室の腫瘤は増大しており,臨床的に心筋転移と診断した.結論.原発性肺癌症例での骨格筋転移,心筋転移は比較的稀であり,特に心筋転移は剖検時に発見される例がほとんどであり,本症例のように生前診断が可能であった例は少ない.診断に際してはFDG-PET,MDCTが有用であった.
索引用語:肺癌, 骨格筋転移, 心筋転移, FDG-PET, MDCT
受付日:2006年12月22日
受理日:2007年3月6日
肺癌 47 (3):257─261,2007