タイトル
第47巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

左完全無気肺をきたした左主気管支発生粘表皮癌の1例

木曾 末厘乃1, 近藤 展行1, 宮原 亮1, 板東 徹1, 園部 誠1, 和田 洋巳1
1京都大学医学部附属病院呼吸器外科

背景.主気管支を閉塞し末梢が無気肺を呈する腫瘤では,画像所見のみでは末梢側の切除ラインの決定に苦慮することがある.症例.20歳女性.喀血を主訴に近医を受診し胸部CTで左主気管支を閉塞する腫瘤性病変が認められたため,当科に紹介された.気管支鏡検査で,気管分岐部から3 cm末梢に左主気管支を完全閉塞する腫瘤を認め,生検で粘表皮癌と診断された.左完全無気肺を呈しており,画像では腫瘍の末梢側が不明であった.術中に左上葉気管支に切開を加え,術野から細径胸腔鏡を切開口に挿入し,気管支内腔を観察したところ,腫瘍は左上葉入口部まで進展していたが下葉入口部には達していないことを確認し,左上葉切除・気管支管状切除術で完全切除することができた.結論.気管支発生で,無気肺などのため画像上,腫瘍の末梢側の情報が分かりにくい場合,術中に気管支に切開を加え細径胸腔鏡などで観察する方法は,末梢側の切除線を決定する上での一助となる.
索引用語:完全無気肺, 気管支発生腫瘍, 細径胸腔鏡

受付日:2007年1月22日
受理日:2007年3月6日

肺癌 47 (3):263─267,2007

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